コラム

Food EXPO Kyushu<国内外食品商談会>フードアカデミー 会議録(後編)

♦ディスカッション2♦ 

九州の食の今後、未来は?

 

 

百貨店として食産業を守る

(株)三越伊勢丹 鈴木 雄大氏

 

ニュースなどで聞かれているように、百貨店の立場として、現状は厳しい側面もある。来る10年、20年で、淘汰される店も出てくるだろう。しかし我々は、そんな中でも生き残るつもりでやっている。

百貨店には日本の食文化を、日本に、世界各地に伝えていく役目がある。それは日本ならではの百貨店の文化で、決してなくならないもの。業態を変えても、百貨店が培ってきた人とのつながりを活かし、食産業を守っていくことに取り組みたい。

 

オンラインでポチッと商品が買える時代、食べ物含めいろんなモノは、あふれかえっている。しかし今後の20年、30年を考えると、地方を中心に人口は減っていくだろう。すると商品も淘汰されていくし、食べる人も少なくなる。その時にお客さんに、スマホとオンラインだけで選んでもらえるのか?

商品を買い続けてくれるファンを多く持っている事業者が生き残るとするなら、時間がかかっても、しっかりと商品について語り、思いを伝え、付加価値をつけて地道にやることを、今からはじめていくことが必要。大九州展という物産展でも、そこしかない売り場、そこでしかできない買い物体験をととのえて、お客様としっかり語り合いながら、九州の魅力を伝えていきたい。

 

 

催事の進化型でミレニアムズを取り込む

(株)岩田屋三越 佐藤 克美

 

火曜日に毎週入れてた広告を出さなくなった。5年前に伊勢丹から上司が来た時に、家に来いと言われ、マンションの郵便受けの下のゴミ箱にたくさんの広告が捨てられているのを見た。「これが実態だ」と。何か新しい情報発信の手立てを考える必要を感じた。

今、三越の食品の事務所では、女の子たちがワイワイ言いながら、SNSに投稿している。一定の規定を設け、それをクリアすれば、それぞれの立場で発信していいことになっている。おかげで、投稿への「いいね」も100を越えるようになった。マス広告は一回作ると300万円。しかしSNSは人件費の範囲でできる。即効性やライブ感も魅力で、翌日に発売されるよもぎの梅ヶ枝餅を動画でアップすると、300食が即完売してしまうなど、わかりやすい効果がでる。見る人の年齢も幅広い。

 

物産展を見ると、最も人気のあるのは北海道物産展だが、九州の北海道物産展は、他の地方とはコンセプトが違う。

年末に昆布や数の子など必要なものを買うというニーズが他より大きい。実際に最も売り上げているのは、鹿児島の山形屋さん。昆布やかずのこを年末に買うという文化があってこその売上げだ。なので20年後、30年後にこの売上げが続くのかはわからない。

 今、2000年以降に生まれたいわゆる「ミレニアムズ」が大人になって、どういう買い物をしているのかに注目している。この層のニーズにどう応えるかはポイントになってくるだろう。

 

 百貨店で「パンフェア」を開催してみたい。イタリア展で九州の食材の新しいイタリアンを提供したり、中洲のバーを百貨店に誘致するなどの取り組みは、進化型として残っていくのではないか?我々も、九州の基幹百貨店として、全国で催事を展開する鈴木バイヤーとも連携し、九州の食のバトンを渡していきたい。

 

 

九州の食を一度に楽しめる場所が必要

(株)シティ情報ふくおか 古後 大輔

 

 食文化は街文化と表裏一体であると実感している。 800冊のバックナンバーを見直す機会があったが、昭和40年代50年代の飲食店が、今の福岡の食文化をつくってきたと実感した。この10年、その世代が引退し、後継ぎがなく閉店している。街が変わり、情報革命がおこっている。

 群馬県高崎市では、「絶メシリスト」づくりに取り組んでいる。なくなってしまいそうだけど愛されている店や食べ物を伝承する取り組み。行政も協力してやっている。それらを取材してみんなに広め、担い手をつくる。修業して継ぐ人ができる。という動きがある。

 

 福岡には、商いのまちづくりの文化があった。1990年代の大名は若者の街だったが、町屋を店舗にするために動いた不動産屋さんがいて、そこに入った若い人たちが、仲間をつくり、まちを作った。しかし、あるとき土地の価格が上がり、外資や大資本が入ってきて壊れてしまった。

 昨今、福岡の中心は、ビジネス的な視点で都市化されてきているが、若い世代や、その土地で商いを続ける人々を育てる「温床」がないと、まちとともに発展する食の文化も壊れてしまう。

 

 また、今、若い世代を中心に広がるシェア文化にも注目したほうがいい。文房具店が飲食店とコラボするなど、BtoB BtoCを越えた視点で、食をとらえる層も出てきている。

 街の温床を大事に。沖縄の公設市場、高知の日曜市のように九州の食を一度に楽しめる場所があるといい。九州うまいもの大食堂が、福岡の街に出ていくのも面白いのでは?

 

 

胡麻×●●で新しい食文化を発信

(有)法本胡麻豆腐店 法本 憲一郎氏

 

ごま豆腐を醤油とワサビで食べるだけではなく、ゴマを使ったスイーツなどに展開しようとしている。

ハウステンボスの近くで経営するカフェでは、胡麻をつかったロールケーキ、長崎おこし、胡麻ソフトクリーム、胡麻豆腐などを組みあわせパフェや、サラダなども展開している。これからもいろんな提案をしたいと思っている。

 

たかが胡麻豆腐、されど胡麻豆腐。長崎の、日本の食文化のひとつとして、日本に世界に発信していきたい。

 

ネットとリアルを活用し、新しいサービスをつくりたい

(有)アルファー 安部 史哉氏

 

オンライン市場を中心にやっているが、ネットという情報発信を通じて、様々な依頼や商談が舞い込んできたり、メディアに紹介してもらっているのも事実。20年、30年先も、それらの依頼に応えつつ、自社の商品の価値をしっかり維持しながら、カタログ通販などは継続していきたい。

またオフラインの部分では、岩田屋本館地下 2階に売り場があるのと、九州各地でのイベント出展にも積極的に参加しているので、そこで、時代のニーズやお客さんのニーズを肌で感じながら、自分たちが楽しいと思うことをしながら、商品だけでなくサービスを充実させたい。将来を見据えたときには自分も年をとっていくので、健康を考え、九州の素材を使った朝ご飯の企画などもやってみたい。

 

♦総括

九州の食の魅力は素材、人、食文化にあり

Food EXPO Kyushu実行委員会 実行委員長 川原 正孝

 

登壇者の方々には、現在のそして未来の九州の食を考える上で、様々なキーワードをいただいた。

九州には、素晴らしい素材が揃っているだけではなく、地域の食文化、地域や街の歴史がある。そしてそれを提供する人の魅力も大事だという話があった。魅力ある商品を食文化とともに提供するというのがひとつのテーマではないかと考える。

先月、中洲にあったすき焼きの老舗が、71年の歴史に幕を下ろした。閉店前には連日200人、300人の人が行列をつくり、山笠も、追い山の時に、その店に行って、手を入れた。素晴らしい食文化を持った老舗が閉店したことは非常に寂しいのだが、このように、地域に長く愛される店を作ることが、我々に必要なことではないかとも感じた。

今日はそれぞれの経験に基づいた貴重なお話を聞くことができた。今後もこの場に集ったみなさんとともに、九州の食を盛り上げていきましょう。

 

左から鈴木氏、佐藤氏、古後氏、川原実行委員長、安部氏、法本氏

 

 

 

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